ヘタレ攻略日記その29

父さん、僕はこの日、エビルマウンテンの最下層で宿命の敵との運命の日を迎えました。そして、僕等は宿命の敵、ミ、ミ、えっとまた忘れてしまったけど奴を倒しました。
ビルマウンテンは広く深く、なかなか僕等を奴の側へと近づけてはくれなかった。でも、僕等も今まで鍛えてきたからね、十分すぎるほど強くなっていたから、少しの罠や迷路にもうろたえることなく進んだよ。
僕等の目の前に現れ、自分のことを「魔界の王にして、王の中の王」と言った奴も最初はそれほど強くなかった。真の姿を見せられた時も、ちょっとその大きさと醜い姿にたじろぎはしたものの、きっと僕等なら大丈夫だと、自信を持って戦闘に挑んだんだ。
僕はね、正直この戦闘中のことをよく覚えていない。ただ黙々と、父さんや母さん、ビアンカや子供達、そして僕や世界中の人々を苦しみの渦へと巻き込んだ奴を、一撃一撃、必死に攻撃をした。ちょっと油断すればすぐに誰かの命が奪われるから、これ以上誰も死なせやしないと、ただそればかりを思いながら戦ったんだ。


そして、僕等は勝利した。


目の前に光が現れ、気がつくと僕等は天空城に来ていた。
マスタードラゴンが僕等の思い出の地をひとつひとつ巡ってくれ、最終地であるグランバニアへと戻った。城も城下町も歓喜の渦で、僕等は世界に平和が戻った喜びの宴をしたんだ。
町の人達と一緒に僕とビアンカも踊った。僕はその時、今までのことを振り返っていたんだ。ビアンカとの出会いと別れ、父さんとの永遠のさよなら、サラボナでの人生の選択…と、今日までのことをたくさんね。
今まで、本当に今までの間に色々な事がたくさんあった。でもその度に色々な人が僕等を助けてくれたんだ。ほとんどが苦しいことだったけど、どれも今に思えば忘れられない思い出になっている。
そして今、僕の目の前で綺麗な弧を描いて踊るビアンカ。僕は、この人と一緒になって良かったと心から思っているんだ。これからは妻と子供達を、今まで長いこと何もしてやれなかった分までたくさん幸せにしていきたい。もう、ずっと離れることのないように。


父さん、母さん、僕、やりました。父さんも母さんも、どこかで僕等の姿、見ててくれたよね?もう安心していいんだよ。これからは二人の時間をそちらで幸せに過ごして下さい。


僕はこの日記をウワサのノートに書き続けてきたけれど、この日記もそろそろ一旦終わりのようだ。まだ余白はあるけれど、そこにはまだ目的を全て成し遂げていない、僕の新たな人生の1ページを綴ることにしようと思う。
僕自身も今まだ知るはずのない、新たな自分自身の運命の日まで




これにてヘタレ攻略日記は終了です。皆様長いことお付き合いありがとうございました。
しかし!私はエンディングを迎えると共に、『仲間モンスターのコンプリート』という使命も授かっているのでございます。エンディングを迎えて初めてプレイできる諸々や、エスタークを15ターン以内に倒し、残る数匹のモンスターをちまちまと追いかける日々を、今後は「ヘタレ攻略日記番外編」として書いていく予定です。
ここまで来たらとことん私の廃人っぷりをご覧になってほしいと思います。
これからも「やっぱりイモがすき!」をよろしくお相手くださいませ。