ヘタレ攻略日記その12

父さん。ビアンカを助けに行くと言った僕は、あの後また空白とも言えるような数年を送る運命に遭遇しました。僕の人生のうちどのくらいが自分の意思と関係なく進んでしまったのだろう。この数年の間は、僕はとある孤島で静かに暮す家族を、その家の庭先でずっと見続けてきました。よちよち歩きだった赤ん坊が、それは楽しそうに走り回るほどになるまで。坊やが成長したのを感じる度に、僕は遠く離れたヒソカとイルミのことを想いました。手を伸ばしたくても動くことすらできなかった僕は、どんなに悲しくても涙さえ流せなかった。本当に辛い数年間でした。辛かったのは僕だけではないのです。目の前でずっと幸せそうだった家族にも魔の手は忍び寄ってきましたから。
僕は目の前で起きた光景を忘れることはないでしょう。今、サンチョと共に僕を連れ戻しに来てくれた子供達を見る度に、あの子供を無事に家族の元へ帰してやりたいと、ただそればかりを思っています。こんな世の中にしたのは一体何者なんだ!


今、戻ってきたグランバニアでは旅を続けたいという僕の意思を応援してくれる人々で溢れているよ。僕の旅が少しでも楽になるようにと色々な人間が協力してくれ、仲間になりたいと志願してくれる人もいるよ。本当にあり難いことだ。サンチョも一緒に旅に出たいと言ってくれたのだが、僕はもう、サンチョには感謝の言葉が見つからないほどの手助けをしてもらった。僕やビアンカがいない間は子供達の面倒を看てくれていたしね。これからはサンチョには少しでも自由な時間を持ってもらいたいから、彼には僕がいつか全てを終えて戻ってくる日を待っててくれと伝えたよ。


そして城では僕のいない間に色々な情報を手に入れてくれていた。話によると母さんの故郷であるエルヘブンが近くにあるらしいので、僕はヒソカとイルミを連れて母さんの故郷へ行ってみることにしたんだ。母さんを独り占めした父さんは随分とエルヘブンの人々に嫌がられたそうだね。僕は小さすぎたから母さんの面影なんて思い出せすらできないのだけど、それだけ母さんが町の人々に愛されていた証拠だよね。素晴らしい人を父さんは選んだんだね。


さて、これから僕はエルヘブン仕入れた話の流れで天空への塔に行ってみる。でもそれはエルヘブン付近に棲息するモンスターを仲間にしてからのことなんだけどね。
あーごめんよ父さん、怒らないで!僕だって今すぐにでも先へと進みたいけれど、これはこれで、大切なことなんだよ。